年齢も性別も、個人的な主義や嗜好も関係なく、その人々の輪は一晩でアメーバのように形をグニャリと変えて、カメレオンのようにその色彩
をも何度も何度も変えていった。前の日の晩のとあるBARでも当日のレコードフェアでも、OVER
40の人たちの話題といったらこ の日のパーティーについてばかりだった。62歳のDJを心待ちにしている40代のMUSIC
LADS。その人たちの生き様を羨望と誇りをもって、これからささえ続けるであろうYOUNG
BLOODS。そこでは誰もが自分の気持ち一つでどこまでも飛べた。そして決して誰も乱すことのない、誰からも乱される心配もない平穏な秩序をも保っていた。これを誰かが
" ZOO IN THE JUNGLE "と例えたのには、もうまさに言い得て妙だった。実際どこからともなく聞こえてくる咆哮はちょっと他ではなかなか聞くことの出来ない代物だった。
元ボウリング場だったというだだっ広い会場。どこかの体育館のようだった。高い天井からはたくさんの風船とミラーボール。壁にはアルファベットの形をした風船で
"MUSIC BRINGS US ALL TOGETHER" 。その広いスペース内で、いわゆるダンスホールとしてあつらえられたスペースはかなり小さめに見えた。そしてDAVID
MANCUSOのいるブースからそこまでの距離もかなり離れていた。午前1時前の到着で目の当たりにしたのはこんなカンジのスペース。正直はじめは全てがなんとなく間延びしているように見えた。お目当ての7台のクリプチのスピーカーで囲まれたダンススペースのなかにはいっても、いつものような驚きは期待していたほどではなかった。そんな中
FARRのようにジッとこれから来るであろう何かを待っている人もいれば、TBHR
CREWのようにスイスイとマイペースでガッツリ楽しんでいる人たちもいた。
それが何かの拍子だったのかははっきり憶えてない。もしかしたらゴリッとした音圧のヘヴィーなトラックがかかったからかもしれないし、
何かのタイミングだったのかもしれなかった。それまで比較的落ち着いていた雰囲気がいきなり熱を帯びてきた。いつの間にかにダンススペースはどこにいっても窮屈になり、その輪はみるみるうちに濃度を増したまま大きく膨らんでいった。そしてその輪に入りきらない、入ろうともあえてしない人たちもそこかしこでダンスを始めた。それは音に突き動かされてではなく、散らばった点と点が線で繋がり、導き合っているようだった。ふと気づくと、入った当初にはかなりあったフロアとDAVIDさんとの距離もいつのまにかになくなっていた。1曲、また1曲
と様々な表情をもった曲達が、プレイされる度にあがる歓声。そして終わる毎にまたおこる鳴り止まない拍手。そういえば音のクオリティーがさっきとは全く違っているのに気づいた。ようやくシステムが暖まったのか。自分の体が暖まったのか。この瞬間を待ち望んでいたオーディエ
ンスの熱気はいつまでもいつまでも止まることはなかった。ただこの長丁場のパーティーをただ音と戯れ続けるのも多少の間延びがしてくる。
そんな僕らにさらにパワーをくれたのが、用意されていたサンドウィッチ、フライドチキン、グリーンカレー、、、。これらは全て好きなだけNO
CHARGEでふるまわれていた。その全てがHAND MADEの温かな味だった。とてもとてもおいしかった。フードカウンターで舌鼓を打ちつ
つノンビリ眺めたパーティーの輪の中に、よけいなものは何もなかった。まさにTHE
PARTY BRINGS US ALL TOGETHER。何も言う事はな
かった。
パーティーの終わりの時間が近づいてきているようだった。"AIN'T
NO STOPPING US NOW (今だけは止めないで)"、"KEEP
ON (ずっとそのままで)" 、、、いつか終わりがくることくらいは誰もがわかっていた。それでも皆歌い叫ばずにはいられなかった。そして最後の曲になった。"MAKE
IT LAST FOREVER (この時よ永遠に)"、、、、
フロアの照明が全てつけられた。広いスペース全てが白銀灯の光で満たされた。それはあまりにも唐突で日常の風景だった。あの数々のマジックが今しがたまでこの場所で繰り広げられていたとは到底思えないくらいだった。でも自分はこの時間がとても好きだ。パーティーの終わりはまた次のパーティーの始まり。この時間は、またいずれやってくる歓喜
と恍惚のドアを開けるまでのリセットの期間。仲間達同士の言葉にならない握手が幾度となく続いた。MAKE
IT LAST FOREVER。
今回新参者である僕たちを温かく迎え入れてくれた全ての仲間たちに心
から感謝します。けっこうマジで救われました。
SEE YOU VERY SOON。
|